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野生のエルザ殺害事件





エルザと母代りのジョイとの交流を描いた感動の大作だが、これがノンフィクションであることも反響を呼んだ。。

1980年1月、世界を衝撃の報道が駆け抜けた。
映画野生のエルザのモデルであり、ナチュラリストとしてケニアで北部国境管理人である夫と暮らしていたジョイがライオンに食い殺されたというのである。
ライオンの家族との間に種族を超えた絆を築いた彼女が、よもや親しい友人でもあるライオンの牙に倒れるとは!
死と隣り合わせの環境でなお野生動物とも交流を諦めなかった彼女の死に深い同情と哀悼が全世界から寄せられた。
しかし事件は間もなく意外な展開を見せ始める。
そう、ライオンに食い殺されたというのは偽装であり、冤罪であったのだ!
彼女はかつての使用人3人によって金目当てに殺害されていたのである。


映画野生のエルザは国境管理人であるジョンがとある事情から母ライオンを射殺してしまい、3頭の子ライオンを連れてやってくることから始まる。
3頭の末っ子であるメスライオンのエルザはとてもジョイに懐き、まるでペットのようにジョイに依存していくが、ジョイは心を鬼にしてエルザに狩猟や独力で生きていくための訓練を施す。
愛犬を飼う管理人としてはせっかく懐いた動物を突き放すジョイの意思力には感嘆を禁じえない。
それほどにペットは可愛く家族の同然であるからだ。
やがてエルザは成長して自然へと帰っていく。
そして幾年かがすぎたある日、エルザは3頭の可愛い子ライオンを連れて再びジョイのもとを訪れるのである。
流れた月日と自然に帰った野生は、それでもエルザとジョイの絆を断ち切ることはなかった。



彼女の死体は首都ナイロビの北270kmほどの動物保護区で発見された。
肩や胸には動物の爪痕と思われる傷が皮膚を切り裂いており、発見した男モーソンはてっきりライオンに殺されたと誤解したのだ。
しかしそんな稚拙な偽装は検死の結果あっさりと見破られた。
同じころ彼女のキャンプが物盗りにあらされていたことも判明し、警察はこれを強盗殺人事件であると断定した。
やがて3人の犯人が逮捕されるが、彼らはいずれもジョイに使用人として使われていたことがある若者であった。
そのため下世話なタブロイド誌は彼女が黒人である彼らに対して高慢で見下していたなどという報道を煽ったが、現地に残る使用人たちの証言はそれを明確に否定している。
この痛ましい事件より9年後、夫のジョンは密猟者によって射殺されている。
近年では殺人犯として逮捕されたポール・エカイが真犯人は第一発見者であるモーソンであるとして再審請求をしており、白人であるモーソンの証言を警察はうのみにしすぎであると主張した。
過酷な環境に加え貧困と差別が横行するアフリカの大地は我々のような現代人にはあまりにも厳しい。
しかしそれでも毅然としてライオンに向きあったジョイの偉業は、今後も決して色あせることはないだろう。



だがジョイがライオンに食い殺されたという報道が当初あっさり受け入れられたのにはわけがある。
実はアフリカでは21世紀の現在でも毎年大量の人間がライオンに食い殺されているのである。
1898年に発生したツアボの人食い事件ではウガンダの鉄道橋建設工事現場に現れた2頭のライオンによって最大135名の人間が食い殺されたという。
21世紀の2004年になってもタンザニアで最低でも35人の人間を食い殺したライオンが射殺されている。
ライオンの性質が悪いのは、ライオンは牡1頭がハーレムを形成して家族が群れとなって行動しているが、1頭が人間の味を覚えると群れ全体で人間を食うことを覚えることだという。
サンガの人食いライオンでは総勢17頭の群れが全て人食いライオンと化し、もっとも多く人を食い殺した1頭は最低でも84人を食い殺している。
エチオピア警察は2005年9月に8月1ケ月の被害状況を調査し、住民20名がライオンに食い殺され10名が負傷、牛70頭が被害にあったと発表した。
いまもなお、干ばつなどで食糧が少なくなったライオンの群れは容易く村を襲い、子供や老人のような体力の少ないものから犠牲になっていく。
アフリカに住む人間にとって猛獣の危険は我々の自動車事故のように身近な存在なのである。




接近戦になればたとえ銃をもっていても人間がライオンに対抗することは難しい。

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