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ベンダー一家

     大草原の小さな家の舞台で繰り広げられた大量殺人劇







大草原の小さな家というホームドラマを見ていたというと年齢がばれるかもしれない。
アメリカはカンザス州の農家の一家が繰り広げる感動のドラマで世界中に輸出されたヒット作である。
しかしそんな牧歌的なドラマとは裏腹にその土地では一家で大量の殺人を犯したおぞましい事件が存在した。

事件の舞台はカンザス州チェリーベルと呼ばれた街にあるベッド&ブレックファストの宿である。
経営していたのは、しわがれ声のジョン・ベンダーという男とその妻、そして息子のジュニアと、妻ケイトの4人。
ジョン・ベンダーはヨーロッパ(おそらくはドイツ)からの移民で、彼の声は現地の人にとって聞き取れないほどしわがれていたという。
宿といっても写真を見ればわかるとおりただのほったて小屋でカーテンによって表は雑貨屋、裏は寝室に分けられていた。
家長であるジョン・ベンダーはすでに60歳に達した老人であったが、立派な顎鬚の特徴的な大男で夫人との間に二人の子を設けていた。
やや知恵遅れ気味のジュニアと美しい娘のケイトである。
ケイトには霊媒の素質があり、見世物小屋で交霊術などを見せることもあったという。
しかし彼らには裏の顔があった。
宿泊客や通りすがりを襲い追い剥ぎを繰り返していたのである。
1871年から1873年の間に失踪者が次々と現れ、さらに行方不明の家族を捜索しにきたものもいつの間にか姿を消していった。
弟を探しにきた兄、嫁をさがしにきた夫―――彼らはみな身ぐるみをはがれて深夜ひそかに果樹園へと埋められていったのである。
綺麗に耕されているはずの果樹園なのに、全く果物を植える気配のないことは近隣の住民の間では長く謎として噂されていたようだ。

しかしそんな彼らの犯行も露見する日がやってくる。
カンザス州議員のアレクサンダー・ヨークが行方不明の兄弟を探しに当地を訪れたのである。
運の悪いことにその彼のもとに宿に泊まったら突然ナイフを突きつけられたと言う女性が保護を求めてやってきた。
武装して押しかけたアレクサンダーに対し、ベンダーの妻は英語がわからない風を装った。
だが問い詰められると逆ギレし英語で出ていけと叫んでしまったという。
怪しさ大爆発であったが確たる証拠もなかったので、アクレンサンダーは証拠をつかむために一度ベンダー家を後にした。

しかし当たり前だが疑いをかけられたベンダー一家がおとなしくしているわけはない。
見つかれば間違いなく死刑である。それだけの犯罪を一家は犯してきたのだから。
そしてアレクサンダーの訪問から時をおかずしてベンダー一家は姿を消した。

一家のいなくなった果樹園からは12体の遺体が次々と発見され、そのなかにはアレクサンダー・ヨークの兄弟の死体もあったのである。

その後ベンダー一家の姿を見た者はいない。
1898年にケイト・ベンダーと思われる女性は逮捕されたこともあったが、結局は証拠不十分で釈放されてしまった。
東海岸へ逃げた。いや、メキシコに逃げたなどという噂もあったが、地元では根強くある噂が信じられている。
一家は怒り狂ったアレクサンダー・ヨーク(彼は陸軍大佐でもあった)の追跡を逃れられず、人知れず処刑されてしまったのだ、と。



大草原の小さな家の作者であるワイルダーは当然この事件のことを知っていた。
彼はその後の講演会で父が事件当時自警団として遺体の発掘に協力し、その後目撃情報があるたびに出動していたことを語っている。
美しい家族たちの物語の舞台で起こった惨劇の真相は誰も知らない。





遺体発掘の様子。



海岸に面しており、干潮時には細長い砂浜が現われて前庭になった。二日に一度の高潮の日には、洞窟入り口から数百ヤード(百ヤード=約91.44m)に渡って水没するが、おかげで侵入者を防ぐこともできた。

あちこちに曲がりくねった暗い横道がある不気味に広い洞窟内は真っ暗で、空気はいつも湿っていたが、二人にとっては居心地の良いねぐらだった。





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