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ニコラ・テスラの交流電源

            




    身長190cm、若い日は女性の視線を集める美青年であったという。




 ニコラ・テスラという人物を知っているなら貴方も立派なオカルト好きか、あるいは科学史にくわしい人間かのいずれかであろう。
 一般にはマッドサイエンティストという評価の人物で時にとんでもないところで名を聞くことになる。
 今でもM資金と同じレベルで詐欺や都市伝説の話題になる男なのである。


 しかしそうした評価はニコラ・テスラの偉業を正当に反映しているとはいえない。
 ニコラ・テスラは1856年7月9日オーストリア帝国のスミリャンで生を受けた。父はセルビア人でセルビア正教会の司祭であった。
 兄を失った5歳のころから頻繁に幻覚を見るようになったらしい。「セルビアの神童」と言われた亡き兄を上回るため勉学に励み特に数学の分野で特出すべき才能を発揮した。
 1880年にはグラーツのポリテクニックスクール在学中に交流電源誘導の理論を発見する。
 1881年に同校を中退しブダペストの国立電信局に就職。23歳でプラハ大学を卒業したらしい。
 その後アメリカに渡り1884年エジソン電灯に採用される。もちろん発明王で名高いトーマス・エジソンの会社である。
 ところが当時直流電灯を主要商品として営業していたエジソンにニコラは交流電源による電力事業を提案したためエジソンと対立1年足らずで同社を退社した。

 だがこれはニコラが間違っていたことを意味しない。むしろ正しいのはニコラの方であったとさえ言える。
 1887年にニコラは交流電源方式の特許を取得、エジソンは新商品である直流電源システムをひとつでも交流電源で動かすことが出来たなら5万ドルを支払うと豪語したが、実際にニコラがこれを動かすことに
成功すると「あれは冗談だった」とごまかした。一説にはこれに激怒したテスラは退社を決めたとも言われる。
 結果からいえばエジソンの直流システムはたちまちすたれたのに対しニコラの交流電源システムは現在でも広く使われている。
 現代でも当たり前に使われている交流モーターの基礎を築いたのはニコラなのだが、白熱灯を発明したエジソンに対しその評価は不当に低いと言わざるを得ない。
 二人の対立はどうやら数学者であるニコラと違い、数学の素養のなかったエジソンには高度な微分積分の計算が必要な交流システムが理解できなかったことにあるようだ。
 さまざまなエピソードで有名なエジソンであるがその基礎学力は決して高いものではなかったのは彼の伝記を読めばわかるだろう。

 その後ニコラは大きく躍進する。
 彼の理論に共鳴したジョージ・ウェスティンハウスの資金援助を受けたニコラはナイアガラの滝での水力発電で彼の交流電送システムを採用されるに至った。
 1888年には循環する磁界を発見し高・超周波の発生機を開発、1889年に100万ボルトもの高圧変換機を開発した。
 さらにニコラは有名な空中放電実験を成功させ、稲妻の科学者などという異称で呼ばれることになる。

 まさに順風満帆、これらの発明を続ければ彼の名声は今よりもっと巨大なものになっていたであろう。
 だがここで彼は禁断の果実に手を出してしまう。
 凡庸な無線システムに飽きたニコラは世界システムという途方もない実験に手を染めてしまうのである。
 1899年、標高2000mにある町コロラドスプリングズで、ニコラ テスラをマッド サイエンティストならしめた歴史的実験が始まった。

 実験が行われたワーデンクリフ研究所の中央には、高さ60mのポールがそびえ立ち、先端には不気味としか言いようのない金属球が輝いていた。

 研究所の中では、異様さはさらに拍車をかけた。
 巨大なコイル、コンデンサ、無数の配線が血管のように張り巡らされている。
 むろん、テスラの十八番『テスラ コイル』もある。まさに、マニアが泣いて喜ぶマッド サイエンティストの世界だったであろう。 ここで、テスラが目指したのは『世界システム』とよばれる装置だった。
 情報とエネルギーを無線で世界中に送るという地球スケールの超技術である。
 もちろん、このシステムで、テスラ コイルは大活躍するはずであった。
 化石燃料と違い世界そのものからエネルギーを引き出す夢の無限動力システムでもある。
 ところが、この壮大な実験は、莫大な資金を食いつぶしたあげく、予定調和のように頓挫した。
 そんな夢のような話があるか、というわけである。

 またニコラは異常なまでの潔癖症で知られており、また虚言癖、あるいは妄想癖のある人物としても知られていた。
 本人は本当に信じていたのかもしれないが、「私は宇宙人と交信している」「私は地球を割ることが出来る」などと言えば通常の人間ならば正気を疑うのはやむを得ない。
 公園を歩きながら突然ファウストを朗読したり、職場で奇声をあげるなどかなりエキセントリックな人物であったのは確かなようだ。
 さらに彼は1930年エジソンととともに与えられるはずであったノーベル賞を辞退、困窮したのちもエジソン勲章を辞退するなど生涯にわたってエジソンを許すことはなかった。
 もし彼がここまで意地になってエジソンを拒否することがなければもしかしたら違って未来が開かれていたかもしれない。特にノーベル賞の辞退についてはその可能性が高いのである。
 現在彼に残された栄誉は磁場の強さを表すのにつかわれる「テスラ」という単位と変圧器を発明した人物という名だけだ。



 だが彼が残した最大の遺産はテスラコイルとそのシステムにある。
 夢の永久動力機関と言われるそれは戦後カルト系の宗教団体やベンチャー系の研究機関のなかで魔に魅入られるかのように語り継がれてきた。
 オウム真理教においても研究されたと言われ、またアントニオ猪木氏や前田日明氏がこのテスラコイルの投資詐欺に金をだまし取られたという都市伝説さえある。
 成功すればどれほどの巨大な富になるか見当もつかないからだ。
 だがそれは逆説的に、化石燃料を支配する石油メジャーなどの闇の力によってニコラ・テスラの研究は闇に葬られたという主張を否定するものであろう。
 もしニコラ・テスラの永久動力が実在すればその成果を独占したほうが儲かるし、石油は確かに戦略資源ではあるが世界貿易の中に占める貿易額はそれほど大きなものではないのである。
 彼の死後、FBIの捜査官が彼の研究資料や発明品を根こそぎ彼の家から運び出したというのはあくまでも都市伝説であり、彼の遺体を発見した家政婦もアメリカ政府が研究資料を持ち出したなどとは
一言もいっていない。
 残念ながら管理人的にテスラコイルはナチスがUFOの開発に成功していたという都市伝説と同じレベルであるように思う。
 だがしかしそれは決してニコラ・テスラの高度な時代を先取りする偉大な電気工学者であったという事実を否定するものではない。
 八ケ国語を自由に操れたというニコラの知性は、生まれる時代がもう少し遅ければ未知の新たな発見を人類にもたらしたかもしれないのである。
 そう思えるほどに優秀な頭脳をニコラが所有していたことを管理人は露ほどにも疑わない。


 21世紀を迎えた今も彼の名が闇で語り継がれていることが彼の偉大さを逆説的に証明しているのかもしれない。



  ニコラ・テスラの放電実験



 テスラの電力塔。まさにマッドサイエンティストに相応しい威容だ。





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